やっとこの日が来たなぁ・・・・。
プレゼントも持ったし、後は時間をどこかで潰せば・・・。
あと、三時間か・・・・。

プロローグ最終話 「幻想」

「ふぅ・・・・。」
唯のやつ・・・どんな顔するかなぁ・・・?
「はぁ・・・。」
喜んでくれるかなぁ・・・?
まさか怒ったりはしないよな・・・・?
「ていうかプレゼントって・・・これでよかったのかなぁ?」
コートの右側に入ってる「指輪」・・・そんなに高くはないけど。
「なんて言っても期間限定のバイトだからな。」
独り言をこぼしながら空を見上げてみる。
「さみぃ・・・。」
今にも雪が降りそうに冷たい色の風が通り抜けたのを感じた。

「はぁ・・・あと一時間か・・・。」
さすがにずっと外にいるのは寒いぞ・・・・。
「そういえば、近くにメックがあったな。」
小腹も空いてきたし・・・・何か食べるか?
「まぁ、一時間もあるから大丈夫だよな。」

「いらっしゃいませー♪」
あぁー・・・・あったかいなぁ・・・・・。
「店内でお召し上がりですか?お持ち帰りです・・・・かって、あぁー!?」
「んぁ?」
「あんた、前の当たり屋!!」
「誰が当たり屋だ、こんな好青年を捕まえて!責任者はどこだぁぁあああ!?」
ほんと、誠意とは何かね?
「あんたのせいで、あの時学校に遅れたんだからね!?」
「学校・・・?遅れた・・・?いつのことだ?」
「春のことよ!忘れたとは言わせないわよ!?」
「・・・・あぁ、あの時か。」
そういえば、そんなことがあったようななかったような。
「何よ、そのうっすぅーーい反応は!こっちはおかげで皆勤がなくなったんだから!」
「・・・・いや、そんなこと言われてもなぁー。」
俺には関係ないだろうがよ。
「それより注文いいか?」
「それよりって・・・・・!ま、まぁ、いいわよ。」
「コレと、コレ。」
「220円になります・・・あんた、クリスマスも一人なの?」
「はい、300円・・・お前には関係ないだろ?」
ていうか、お前もクリスマスにバイトいれてるだろうが。
「お釣り80円になります・・・あんたも寂しいわねぇ。」
「はい、どうも・・・心配するな、約束の一つくらいはあるわい。」
「えぇぇぇえええ!?」
何だ、その驚きに満ち溢れた表情は?
「あんた彼女いたの!?」
「ノーコメントだ。」
「何よ、それぇ?楽しくないわねぇ。」
・・・つい最近もこんな会話をした気がするぞ?デジャヴ?
「まだまだ、子供だな。」
「なによ、鼻で笑っちゃって!はい、注文の品!」
「あいよ・・・・お前さ、今度からは時と場所を考えて行動しろよな?」
「・・・・?何が言いたいのよ?」
「後ろに立ってる人には気をつけろってこった。」
そこまでを伝えると俺は席を探そうと歩きだした。
「後ろ・・・・?」
「北原さん、ちょっと・・・・・。」
「て、店長・・・・・・こ、これは・・・・あは、あ・・・。」
「言い訳は後で聞くわ。」
「・・・・すいません。」
・・・・・・教えないほうがよかったかな? 「まぁ、いいか。あの北原ってやつは少し黙ったほうがいいもんな。」
我ながらいいことをしたものだ、コレで数人は救われるな、うん。
「うん、いいことをした後のハンバーガーはうまいなぁ♪」

「あー旨かった・・・・って、あと20分!?」
あいつとの会話のせいだな・・・遅れたら七代先まで呪うからな。
「ちょっと急がないとな・・・。」
俺は少しばかり小走りで駅前に向けて走り出した。

「はぁ・・・はぁ・・・・今、何時だ?」
・・・・7時10分?
「だっはぁ・・・・こんなときに遅刻かよ。」
うなだれてる暇は無い・・・唯は?
「・・・・・どこだ?」
俺は当たりを見渡した・・・。
「まさか・・・・帰ったりしてないだろうな・・・・?」
・・・・・さすがにそれはないよな。
「・・・・あ、いた。」
お、唯も俺に気付いたな?
「修ちゃ〜ん、こっちこっち〜♪」
「ああ・・・、ん?」
何か眩しい・・・・・何だ?
激しい閃光とともに何かが近づいてくるのが一瞬見えた・・・。
「・・・!!!そっちは・・・・唯、危ないっ!!!!」
「え・・・・・!?」
ゴォォォォォォ・・・・・・。

「唯!!」
俺はそう叫びながら、目の前の変わり果てた情景に愕然とした・・・。
「おい・・・嘘だろ・・・・・?」
目の前には一台の車。
「そんな・・・・唯・・・・・。」
目の前には無残に崩れ去った装飾の一部。
「唯・・・・、唯・・・・?」
目の前には一人の血を流し、倒れている少女。
俺は急いで傍に走り、声をかけた。
「おい・・・・唯、唯!返事しろ!」
「・・・・・あ・・・・う・・・・。」
「生きてる・・・・!?唯、しっかりしろ!!」
「し・・・しゅ・・う・・・ちゃん・・・?」
「そうだ、俺だよ!わかるか!?」
俺は、微かに動いた左手を両手で握り締め答えた。
「・・・っ!・・・いた・・いよ・・・、いたい・・よ。」
「あ・・・・!」
俺は握る力を少し弱めた。
「もうすぐで救急車がくるから、もうちょっと我慢するんだ!!」
「う・・ん。」
「唯・・・・・頑張れ・・・・っ!」
「え・・・えへへ・・・。ゆ・・い・・・がん・・ばっちゃう・・・もん・・・ね。」
「ああ・・・・!!」
「そ・・・そう・・だ、これ・・・・・。」
「・・・!唯、身体を動かすな!どこが折れているか・・・・。」
「だめだ・・・よ、き・・・きょうは、くりす・・・ま・・す・・なんだか・・ら。」
唯は俺にプレゼントを差し出した・・・・。
「ゆ・・・唯?」
「これね・・・き、きょう・・・わたそう・・・と・・・おもっ・・・て・・あんだ・・・の。」
それは、二人で巻けるほどに長いマフラーだった・・・。
「あ・・・あは・・・・よごれ・・・・ちゃった・・・・。」
「ありがとう・・・・・ありがとう・・・・。」
俺はいつの間にか涙を流していた・・・・。
「あ・・・れ?しゅ・・うちゃ・・ん・・・・ないて・・・・る?」
「ば、馬鹿言うな・・・・だ・・・誰が・・・っ。」
「えへ・・・へ・・・・。ねぇ・・・・しゅう・・・ちゃん?」
「・・・・なんだ?」
「マフラー・・・・ふたりで・・・・・まこ・・っか?」
「・・・・・・ああ。」
俺は唯の身体を少し持ち上げ、少し汚れたマフラーを首に回した。
「え・・・・えへへ・・・あったかいね・・・・・。」
「・・・あぁ。」
「しゅう・・・・ちゃん・・・ありが・・とね・・。」
「え?」
「きょ・・・う、さそわれ・・・て・・・・うれし・・・かった。」
「唯・・・・・。」
「ゆ・・・いね・・・・うれしか・・・ったの・・・・。」
「・・・・・・っ。」
「でも・・・・ね、もう・・・・・いか・・・なきゃ。」
「なっ・・・何言ってるんだ!あと少しで救急車がっ・・・・!」
「ううん・・・・え・・えへへ・・・、だい・・じょう・・ぶ。」
「大丈夫な訳ないだろう!?」
「だ・・いじょうぶ・・・唯はね・・・・ずっと・・・そ・・ばに・・いるから・・・・。」
「・・・・・・え。」
「ず・・・っと、ずっと・・・・・・・・。」
唯は微笑みながら・・・・そっと・・・・目を閉じた。
「唯?・・・・・・唯っ!?」
俺は何度も呼びかけた・・・・けど、ダメだった。
「・・・・・うっ・・・・あっ、あああぁ・・・・!」
声にならない嗚咽をあげながら、唯の身体を強く・・・・抱きしめた。
誰よりも、何よりも・・・・・・強く、強く。
そして・・・・最初で最後のキスをした・・・・・・・・。

空からはいつの間にか雪が舞い散り始めていた・・・・。
聖夜の終わりを告げる鐘の音とともに・・・・。

降り積る雪は命の輝き 「幻想」 終了



いかがでしょう?これでプロローグは終わりです。
「秋」の部分で少しばかり本編についてふれています。
内容見たら分かると思いますが・・・・きちんと時間軸を説明してないところもあります(苦笑
次回からは本編ですね・・・・あぁ、しんどい(何
あぁ、ヒロインを殺したことに関しての批判などは受け付けてないんで・・・よろしく
俺自身あんまり書いてて面白くは無いんで。
でも文章的には・・・こっちのほうがスラスラ書けるんですよ・・・なんで?
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