夢を見た・・・・・。
子供のころ初めてあいつに会った日・・・・・。
その日は子供なら誰もが喜ぶクリスマス・・・・。
けれど、あいつは一人で泣いていた・・・・・。

「ひっく、うえぇ・・・・。ひっ、ひっく・・・。」
そいつは顔を真っ赤にして泣いていた。外の白い雪に映えてより赤く見えた。
「ねぇ、どうしたの?どこか痛いの?」
俺はたまらず話しかけていた。
「ひっく・・・っ。・・・きみ、誰?」
「俺は、時野修っていうんだ。きみは?」
「・・・・ゆ、雪岡唯・・・。」
そう、唯とはこの日が初めて会った日だった。
「そう、唯ちゃんって言うんだ・・・・。それで、どうして泣いてるの?」
唯は少し涙をこらえながらこう答えた。
「あ、あのね、今日はクリスマスでしょ?それなのにお母さんも、お父さんもお仕事でいないの。
だから、おうちに誰もいなくって公園に来たけみたけど・・・。誰もいなくって・・・。だから・・・」
今でもそうなのだが、唯の両親はバリバリの仕事人間だ。
当時おじさんは、小さいが建設会社の社長。おばさんは、売れっ子のファッションデザイナーだった。
だから、唯が一人で留守番していることが多かったのだ。
「そうだったんだ・・・・」
その時俺は、何故かこの女の子を笑わせたくてこう言っていた。
「じゃあ、俺と遊ぼうよっ!ねっ?」
「え・・・?ちょ、ちょっと待って・・・っ!」
「ほらっ、あっちに行って一緒にブランコしようよ。それとも滑り台がいいかな?」
手をひっぱって俺は唯を急かした。
「ま、待ってってば!行くから、行くからぁっ!」
まだ唯が笑ってくれた訳ではなかったが、一緒に遊べることが少し嬉しかった。

「うわわぁ!!た、高いよぉ〜〜っ」
「まだまだぁっ!そぉーれぇーっ!!」
俺は唯をブランコに乗せ後ろから押してとても高いところまで飛ばしていた。
「怖いぃ〜〜っ!おーろーしーてーよぉーっ!!」
「もう?ん〜〜、しかたないなぁ」
そういって少し笑いながら、俺は唯の背中を両手で押し返しながらブランコを止めてやった。
「どう?たのしかったでしょ?」
しかし唯はすこし頬を膨らませながら
「そんなわけ無いじゃないっ!とっても怖かったのっ、もうっ!!」
と言ってカオをプイっと背けてしまった。
「あはははっ、ごめんごめん。ちょっと高すぎたかなー?」
「ちょっとじゃないよっ!すごく高かったのぉっ!」
「あはははー。ん、じゃあ次はどれで遊ぼっか?」

楽しい時間というのはすぐに過ぎていくもので・・・・。

近くの小学校から「七つの子」が鳴る頃・・・・。
「あっ・・・・もうこんな時間か・・・。」
その聞きなれたメロディーは子供たちの帰宅時刻ということを示していた。
「え・・・?帰っちゃうの?」
「うん・・・お母さんに怒られちゃうし。そろそろ帰らないと・・・。」
「でもでも、まだ唯のお母さんたち帰ってきてないよ・・・?」
そうだった。俺はこのときこの時間までには帰ってくるんじゃないかと思っていたのだ。
「んー・・・・そうだなぁ・・・。」
ふと、唯の表情を伺うと少し寂しそうだった。だから俺はつい・・・。
「・・・・わかった。もう少し遊ぼうかっ?」 俺は母親に怒られるのも怖かったが、唯が寂しそうにしているのを見ていられなかった。
「ホントに?やったぁ〜♪ねっ、ねっ、何しよっか!?」
俺はこの時子供ながらに唯のことをかわいいと思ってしまった。
何故なら、笑うとえくぼが出来ていて、さながら「ニパっ」っていう擬音が似合うほどの笑顔だったのだから。
「そうだなぁ〜?じゃあ、もう一回ブランコにー・・・・」
「ぜーーーったいに、いやぁ〜〜〜〜〜〜っ!!」
「ははは、うーそーだよっ!」
「あっ!もぉー、からかったなぁ〜っ!!」
二人の次の遊びは追いかけっこに自動決定だった・・・。

そうして二人が少し疲れた頃。
「こぉら、修!いつまで遊んでんのっ!?」
現れたのは母親だった。表情は明らかに心配と怒りをあらわしていた。
「げっ!?お母さん!・・・・やっばぁ〜」
「まったく、クリスマスだってのに・・・たまには早く・・・・・」
と、そこで延々と続くと思っていた説教がピタっと止まった。
どうしたものかと母親の方を見てみると、目をパチクリさせながら・・・
「修、あの女の子は誰なの?」
どうやら母親の興味は完全に唯に移ってしまったようだ。少し安心しながら俺は答えた。
「あ、あぁ。この子は雪岡唯っていうんだ。一緒に遊んでたんだ。」
「あ、あのぉ・・・。雪岡唯って言います。で・・・その・・・えと・・・。」
どうやら唯は最初の母親の表情でビビってしまったようだった。
「えぇーっと、唯ちゃん?」
「っ!?はっ、はいっ!?」
「・・・大丈夫だよ。お母さんは唯をとって食べたりしないから。
「修はだまってなさい・・・・っ」
「いっ!?いたっ、いたっ・・・・・あ、アイアンクローはっ・・・・・反則っ!!?」
「あわわわわ・・・・」
「あぁっ、泣かなくてもいいわよ。おばさんは唯ちゃんを怒ったりはしないからね」
そう言うと唯は安心したようで
「ホントに?よかったぁ。」
「なんで俺だけ・・・・?」
「唯ちゃん、早く帰らないとお母さんたちが心配するんじゃないの?」
「ううん、唯のお母さんたちはまだお仕事なの。」
母親はバツの悪そうな顔した。恐らくしまったとでも思ったのだろう。
「そうかぁ・・・お仕事なんだ。なるほどね・・・。」
母親が次の言葉を考えてるその時だった。
「唯じゃないか?一体何をしてるんだい?」
「「「え?」」」
三人で一斉に振り向いた先には見知らぬ大柄な男の人が立っていた。
「お父さん・・・?」
「おやおや、こんな遅くまで遊んでたのかい?・・・おや?」
どうやら唯の父親らしい。そして同時に俺たちのことにも気付いたのだろう。
「えー・・・唯、そちらの方は?」
「ん?えーとね。こっちの男の子が時野修くん。それでこっちの人がそのお母さんだよ」
「あぁ、これはどうも。うちの唯が迷惑をおかけしなかったですかな?」
「いえいえそんなっ、こちらこそうちの息子が遅くまで一緒に遊んでいたようで・・・ホントに全く・・・」
「唯は迷惑なんてかけてないよーっ、いい子だったもんっ!」
「あっはっはっ、そうかい?」
その時俺はとっさにこう切り出した。
「おじさんっ、今日はクリスマスですよね?なのにどうしておばさんもおじさんも仕事にいってるんですか?」
多分、多少の攻撃性のある言葉だったのだろう。少しだけ辺りが静かになった。
「こらっ、修!唯ちゃんの家のことに口を・・・っ」
「いいんですよ。確かに私たちは現に娘を残して仕事に行ってるのですからね・・・。えっと、修くんだったかな?
ホントはおじさんたちも今日は休みたかったんだ。だからせめてもと思って早めに切りあげて帰ってきたんだよ」
当時の俺に理解できるはずはなかった。だってうちの両親は仕事を休んでいたのだから。
「でも、泣いてたんですよ?家にも公園にも誰もいないって!」
「・・・・・そうかい。それは悪いことをしたな・・・。でも、修くんが遊んでくれていたようだね?
唯は笑っていたようだしね。ありがとう」
「いや、ただ俺は・・・。」
あいつの笑った顔が見たかっただけ・・・。その一言がどうしても口から出なかった。
「ふぅ、じゃあそろそろ帰ろうか、唯?辺りも暗くなってしまったしね」
「うん、お父さん」
「では時野さん、私たちはこれで。」
「いえいえ、お気をつけて。バイバイ唯ちゃん。」
しかし、唯はふと立ち止まり俺の方を向いて・・・
「あ・・・明日も遊んでくれる・・・・?それとも唯とじゃ、イヤ・・・かな?」
俺は思ってもみなかった言葉に少し驚いたが、イヤではなくむしろ嬉しかったから
「おうっ、明日も一緒に遊ぼうな!」
と答えていた。そしてふと口に出たそいつの名前を・・・
「また明日な、唯っ!」
初めて呼んだ名前は今と変わらないその一言・・・・。
唯も二パっと微笑みながら初めて俺の名を呼んだ。
「バイバイっ、修ちゃん♪」
その呼び方も今と変わらない何気ないその一言・・・・。
大きく手を振りながら・・・・。
その時、また俺は唯の笑顔に惹かれていた。何気ないその笑顔に・・・。

クリスマス・・・・。12月25日・・・・。
それは人にとってどう思われているのだろうか。
その一日に幾つの出会いと別れがあるのだろうか?
それは誰にもわからない・・・・そう、わからない・・・・。
果たしてこの二人の出会いは幸せだったのだろうか?
それは誰にもわからない・・・・そう、わからない・・・・。


降り積もる雪は命の輝き〜追憶〜 終了



祝、第二話公開っ!
子供のしゃべり方ってむづかしぃ〜(涙)
いろいろなとこがおかしくなってると思うのねw
というか無理やり繋げてるから結構不親切な文面だったり?
いやぁ、それにしても我ながら意味深な言葉を残してるねぇ(爆
ただ単に思い浮かんだ言葉を並べただけだけどね(ぇ
この言葉でいろんなことが思えたり、わかったりするのかもね。
じゃあ、親切なのかな?どうなんだろ?(苦笑)
はぁ、それにしても書いてて泣きそうになるってどゆことさっ?
(現時点で学園編のクライマックスは考えてある。)
もう、どうにかして読んでる人泣かしてやろうか?とか考えちゃう始末だしww
音楽で言えば「歌モノ」だよ。これじゃあね。

次回「〜一年〜」をお楽しみに♪

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