それは、これから起こる3つの出会い・・・・

いや、それよりもほんの少し前・・・・

ある二人の出会い、そして別れの物語・・・・



「・・・・・・ジリリリリリリリリっ!!」
それは正に不意打ちと言っていい程の音量だった。
「うぉっ!?・・・・・おい、貴様はなぜ、毎日毎日人の安眠の邪魔をしやがるんだ?
こう・・・なんつーの?もうちょっと学生を労わる気持ちはねーのかよっ!?」
正直、自分で言ってて情けないと思いつつも最後まで言い切っている自分がそこにはいた。
しかも、頭の中には、
「これが俺の仕事なんだよ、なんか文句あっか?あぁっ!?」
とまで聞こえてきそうな気もする・・・・。
「ちっ!時計にまでバカにされちゃ、俺もシメーかな?」
と、今起こった奇妙なやり取り(?)を振り返りつつ学園へ行く支度を始める。

俺は、時野 修(ときのしゅう)。
Y県立北遼学園に通う2年生だ。
ダチが言うには、ルックスは悪くない、むしろ二枚目寄り。
けれど、ちょっとおかしなヤツって言われる・・・・・おかしなって何だよ?なぁ?
「だから、彼女できねーんだよ。」とまで言われる始末。
「俺のどこがおかしいってんだよ、ったく。」
部活は・・・・帰宅部。そう、俗に言う「やる気ナッシー」である。(言わねーよっ!<修>)
別に何をするでもない、友達と帰りにどっかに遊びに行ってみたり、
テスト中は赤点取らないように必死になってみたり・・・ある意味一番高校生らしい男だ。

と、紹介している間に準備が出来てしまったようだ。
「行ってきま〜す!」
「はい、行ってらっしゃい。」
と、よくある朝の風景に見送られながら俺は学校へ向かった。

「う〜ぅっ、さびぃっ!」
と外に出ての開口一番の言葉がコレだった。
そう、今の季節は冬。しかも、クリスマスがあと1週間に迫っていた。
街はクリスマス一色。朝早くからケーキ予約のチラシを配るコンビニのお兄さん。

「クリスマスにセブンマート特製のホワイトスノーデコレーションはいかがですか〜っ?」
「や、自分高校生ですから。」
「彼女とどう?君みたいな二枚目なら一人や二人股にかけちゃってんじゃないのぉ?」
「や、一人もいませんから。ってか二股はいかんでしょうよ?」
と、普通のツッコミもクリスマス商戦に燃えてるお兄さんには届かず、
「まぁまぁ、このチラシに名前と住所、電話番号を書いてくれれば届けるからっ(ぐっ♪)」
「や、ぐっ♪ってサムズアップされても・・・・。」
「なんなら、彼女と約束の場所にでも届けようか?」
そう言ったお兄さんの目はキラキラと光っていた。ついでに言うと何故か鼻息も荒い・・・。
「や、自分は学校があるんで・・・・・じゃっ!」
俺は、シュタっと振り返りながら片腕を挙げその場を後にした・・・もとい、逃げ出した。
「あぁ〜〜〜っ、サインしてくれるだけでいいんだよぉっ!!」
っていう声が聞こえたが、そこはあえて無視っ!いやっ、むしろ無視っ!!

そんなこんなで学園に到着。
「ふぅ、朝からしんどいわ・・・・。」
と、その時だった。後ろから背中を叩かれ・・・・・いや、ドつかれたのは。
「へぃへぃ、どうしたよ?ブラザー。」
「っっっつ〜〜〜〜っ!朝一番の挨拶に、人を殺しかねんドつきはやめいっ、俊彦っ!」
「ったくウルせーな。ただの挨拶にケチつけんなよなぁ?」
いや、空手のジュニアチャンピオンの軽くは軽くじゃないんだって・・・・・(涙)

こいつは、結城 俊彦(ゆうきとしひこ)。
同じクラスの一番仲のいいダチだ。んでもって空手のジュニアチャンピオンだ。
学園でも一目置かれている存在で、不良も頭が上がらないらしい。
いや、むしろ尊敬されていると言ってもいいだろう。
なぜなら、正義感が強い上に熱血が入っている。そのせいかなのか
不良だろうがなんだろうが困ってるやつは助けてしまうという奇特体質だ。
そう、この間も俺たちのクラスの不良と言われるやつに先生から事件の疑惑がかけられた時も
「こいつはそんなことしないっ!」
と、大声で叫んだほどだ。その上そいつと証拠を掴んで真犯人を突き止めたぐらいだ。

「ん?どうした、朝からボーっとしやがって。修、熱でもあんのか?」
「バぁーロぉ、んなわけねーだろ。」
と言いつつ、今日も一日が始まるのだった・・・・・。

クラスに入り、見知った顔と挨拶しながら席へ向かう途中、
「今日さ、転校生が来るらしいよ〜」
という話を聞いた。まぁ、女の子だったらいいなと思うくらいで別段気にもとめなかった。
「転校生・・・・・ねぇ。」
と、そうこうしている間にチャイムが鳴り、先生が入ってきた。

「よーし、席につけぇ〜。出欠を取る前に・・・転校生を紹介する。ちなみに女子だっ。」
クラス中に男子の「おぉぉぉ〜〜っ♪」という、歓喜の叫びが舞った。
「よ〜し、入ってきなさい。」
やはり、男子全員の手には力が入っていた。それはドアが開くたびに強くなるのが感じられた。
ドアが完璧に開き、その女子の姿が見えた時、
「うおぉぉぉぉぉーーっ!!」
と、張り裂けんばかりの叫びの声に驚き、その真ん中にいる女の子に目をやった。
「こらこら、まぁ気持ちは分からんでもないが・・・・君、自己紹介をしなさい。」
「は、はい・・・。えっと、雪岡 唯(ゆきおかゆい)って言いますっ。
この街には10年ぶりに戻ってきました。よろしくお願いしますっ!」
まぁ、なんとも元気がいい子で・・・まぁ、そこまで深々とお辞儀して・・・・
そうかね、10年ぶりに戻って・・・。・・・・?ゆきおか?・・・・ゆい・・・?
「・・・・ゆ、唯っっ!??」
俺は、ハっとして立ち上がっていた。
「どうした、時野?急に立ち上がって、その上雪岡の名前を叫んで。」
さすがにクラス中に失笑が起こった。が、名前を呼ばれた女の子はこっちを見つめていた。
そして、記憶を手繰るかのように俺の名前を呼んだ。
「修?・・・・・修ちゃんっ!?修ちゃんなのぉっ?」
恐らく思い出したのだろう。俺の名前を大声で叫んだのだった。
しかも、目がキラキラしてるし。たしか、この状態のこいつは・・・・・
そうやって、思案してる内にも「それ」は迫っていた。

「しゅ〜うぅちゃ〜〜〜〜んっ♪♪」
「はっ、そうだったっ!唯はああなると抱きついてきてっ・・・・・!」
時既に遅し。振り返るとそこには
「ぬぉぅっ!?遅かったかぁーーーっ!!」
叫びだけ虚しく空を駆け抜け、俺は抱きつかれた反動で後ろへと倒れてしまった。
「修ちゃーん、久しぶり〜〜っ♪元気だった〜〜っ?」
しかもこいつは、倒れたこともお構いなしに抱きついてくる始末・・・・。
「っつつつつ・・・・。くぅらっ、唯!いきなり抱きつくんじゃねぇっ!!」
「だって〜、まさか修ちゃんに朝から会えるなんて思ってなかったんだよぉ。
帰ってから家におしかけてビックリさせてやろーと思ってたんだよ?」
こいつは・・・・どっちにしろこうなるんだったのかよ・・・・。
「それにしても、時と場所ってもんを考えろよっ!ここをどこだと思ってんだっ。」
「どこって、ここは学園だよ?」
「そう、学園なのっ!だから・・・・・・・っ。」
ここまで来てようやく気づいた俺。しかし、又も時既に遅し。
いろんな感情はすぐそこまでやってきていた。
「しゅ〜う〜っ?」
いの一番には馴れ初めを聞きたがってる上に
指をボキボキ鳴らしてらっしゃる俊彦。
「とぉきのぉぉ!」
と、クラスメイトの悲痛と憎しみと羨望の叫びがっ!
「私、時野くんってそんな人じゃないと思ってたのにーっ。」
と、何故か喋った事もないクラスの女子が芝居の入った口調で
ハンカチを噛みあげ、うっすらと涙まで・・・・・・って何でだよっ!!
「修ちゃんって、人気者だったんだね〜。やっぱり唯の大好きな修ちゃんだよぉ♪」

「爆弾投下完了!」

聞こえた・・・・。俺には二等兵のそう叫ぶ声がはっきり聞こえた・・・・。
しかも、コレは広島原爆に匹敵しますよ、ええ。
「大好き」このフレーズに誰もが反応したのだった。
「あ・・・・あはははは、唯そういうことはあまり無闇にくちにぃ・・・・」
ギギギと首を後ろに回すと・・・・・・
「修ちゃ〜ん、後でゆっくりきかせてねぇ〜〜♪」
もう、爆弾はどうしようもないことを悟った俺はその場にへたり込んだのだった。

「さぁ、さぁさぁ!聞かせてもらおうじゃないか!?えぇ!?」
クラス中の皆様に囲まれている俺・・・・・何故だぁっ!?(涙)
「や、その・・・・唯とは、あの・・・・幼馴染みというやつでして、ええ。」
「うわぁ、唯だって〜。名前で呼んでるよぉ♪」
クラスの女子からはいろんな目で見られてるし・・・・うわぁぁんっ!!(涙)
「幼馴染み・・・・・グッジョブっ!!(グッ♪)」
何故かサムズアップしてるやつまで現れるし・・・・ってかお前誰だっ?
「いや、あの、ですから今日の様なことは、昔からあってですね、ええ。」
「ほほぉ、修くんよ。して、雪岡さんとはどこまで行ってらっしゃる訳で?」
俊彦も律儀である。ここまできて「雪岡さん」とは・・・・。
ここは普通の流れならもう、「唯ちゃん」呼ばわりのはずなのだが・・・。
「や、どこにも行っておりませぬが。というかそういう関係ではなく、
健全なお付き合い・・・・いやいや、そうじゃなくって。」
「はっきりせんかぁいっ!」
クラス中からツッコミをもらってしまった・・・・。
くっそ〜〜っ!こうなったらぁっ!
「えぇい、唯とは幼馴染みだぁっ!!なんか文句あっかぁっ!!」
しかし、言った俺もバカだった。相手は空手のジュニア・・・・・
「大アリなんじゃぁーーーっ!!!!」
その握られた右拳は俺の顔面めがけて放たれた訳で・・・・
「ぐぁばぁっ!!!」
喰らった俺の体は数秒空を舞い踊り、廊下の真ん中まで飛んでしまった。
「あっ・・・・つい、加減を忘れて・・・・・死んだか?」
ええ、死にましたとも。親友の拳で殺されましたとも。
薄れ行く意識の中で俺は心の中でツッコミをいれていた・・・。

「うぅ・・・・・・。いっつ〜〜!・・・・・どこだ、ここ?」
キョロキョロと辺りを見回している俺に聞こえた声はこうなった原因のものだった。
「保健室だよっ、修ちゃん♪」
「保健室?なんで?」
「修ちゃんったら、結城君の右アッパーを喰らって
廊下まで飛んでっちゃったんだよ?すごかったんだからぁ。」
そうだ、俺は俊彦に見事なまでのアッパーを・・・・って感心してどうするっ!!
「・・・・・まだ、アゴがいてぇ。」
「ごめんね、修ちゃん。唯が飛びついちゃったから殴られちゃったんでしょ?」
それはそうなのだが、はっきりそうだと言える程俺も強くない・・・。
「別にいいさ。唯もビックリして抑えられなかったんだろ?
まぁ、抱きついてくるのは昔からだし・・・・。しょうがないさ。」
「修ちゃん・・・・・。うんっ、ありがとっ♪」
「ところで、今何時間目なんだ?」
「えっ?もう、放課後だよぉ?」
「・・・・・はいっ?」
「だ・か・らっ、放課後なんだってばぁ〜!」
「ウソッ!?俺は一日寝てた・・・いや、気ぃ失ってたのか・・・」
さすがにそれは無いだろうと思ってただけにちょっとショックだった。
まぁ、チャンピオン渾身の一撃なら仕方ない気もするが・・・・
「まぁ、とりあえず帰るか・・・・。」
「うんっ、ハイっカバンっ♪」
「おう、サンキュー。」
そうして、俺たちは帰路についた。

「ただいまぁ〜!」
間髪入れずそこに唯が。
「おじゃましま〜すっ!」
と叫んだ。うちの親はもう、事の次第を知っていたらしく笑顔で迎えた。
「あらあら、唯ちゃん。こんなに大きくなってぇ♪
それにこんなにキレイになっちゃってぇ♪」
そうなのだ。俺も帰り道で気づいたのだが、唯はキレイになっていた。
髪はセミロングを後ろで束ねて、胸もそこそこだったし、肌も・・・・
「どしたの?修ちゃん、こっち見つめて。何かついてる?」
「やっ・・・・な、なんでもねぇよ。」
「そう?まぁ、いいんだけど。」
「二人とも、いつまでも玄関にいないで上がってらっしゃい。
今日は、唯ちゃんのご両親も来るんだからね〜。」
「・・・・今日はご馳走だな、間違いなく。」
そんなことを言いながら俺は部屋へ、唯はリビングへ向かっていった。

その夜は宴会だった。
両親同士が酒を飲み合い、昔の思い出やらを話し始める。
しかし、大半は「あれっ?こっからどうしたっけなぁ〜。」となり、
「まぁまぁ、細かいこたぁ気にせず。どうですっ、もう一杯っ。」
「いやぁ、すみませんなぁ。」という会話になっていた。

その後、宴会は日付が変わった後に終了した。
唯と両親は家へ帰って・・・・・となったのはいいのだが・・・。
「ガチャ、バタンっ・・・ガチャ、バタンっ。」 「お隣さんかいっ!!!」
俺は、今閉まったばかりのドアを全速力で開いてツッコミを入れていた。
「マジかよ・・・・。」
しかしながら、幼馴染みが戻ってきたのが嬉しかったのか
俺は、少しばかり笑っているようだった・・・・・。




降り積もる雪は命の輝き〜再会〜 終了



いかがだったでしょうか?「〜再会〜」は?実質コレが第1話になります。・・・・・・がっ!
まだ、お話は全然終わりません(涙)はっきり言うと学園時代はプロローグに過ぎないんですっ!
ムッチャ長いプロローグですね・・・・・・(苦笑)
その後どうなっていくのか、書いてる自分が一番楽しみだったり・・・・ww
何か考えてると全部でどの位になるのかわかんないや♪(苦笑)

次回「〜追憶〜」をお楽しみにっ♪

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